美味しいパウンドケーキの作り方 <乳化編>

パウンドケーキ

1.由来

パウンドケーキはカトルカール(quatre-quarts)と呼ばれ、4の4という意味です。
これは、小麦粉、バター、砂糖、卵の4種類の材料を等量使って作るお菓子なのでそう呼ばれています。
また、イギリスでは前記の材料を1ポンド(約450g)ずつ使って作る事からパウンドケーキ(Pound Cake)と呼ばれ、皆さんにはこちらの呼び方が慣れていますよね。
この由来から分かるのは、基本はとてもシンプルなお菓子という事です。
なんせ4つの材料を同じ量混ぜるだけですからねw
だけどシンプルだからこそ難しい!
普段何気に作っていても、ポイントを押さえればもっと美味しくなる可能性を秘めています。
今回は乳化というポイントに絞ってお伝えしていきたいと思います。

2.乳化とは

乳化とは簡単に言うと水分と油がしっかり混ざった状態の事をいいます。
しっかり乳化している状態はマヨネーズ状になっており、ドレッシングを攪拌した時みたいに時間が経つと水分と油分に分かれる状態では乳化しているとは言えません。
この状態の見極めとしては、艶がある・ボールなどの器具から滑り落ちないというのがあります。
乳化している状態で粉を入れるのと、分離した状態で粉を入れてまとめた物は状態が違うので注意が必要です。
また、乳化に失敗すると分離という状態になり炒り卵が油に浮いているようなブツブツした物が現れます。
また、さっきとは逆で水分と油分が分かれているので器具からも滑り落ちてしまいます。
そして、分離が起こると、乳化した物・水分・油分と分かれてしまうので、どのタイミングで分離が起こったのかによっても出来上がりの違ってきてしまうので完成品が安定しません。
(粉を入れる前にちゃんと乳化し直せば問題ありません)

3.乳化のポイント

①バターと砂糖をしっかり立てる

これは、しっかり立ててボリュームを増やすことで水分(卵)を受け入れるスペースを作る事になります。
よく白っぽくなるまで混ぜるというのは(パウンドケーキにおいて)こういう意味があります。

②適度に温める

乳化を行うには、適切な温度でしっかり混ぜる必要があります。
よくある失敗では、冷たい卵を入れてしまうことがあります。
これは、バターが冷たい卵を入れる事で冷え固まってしまい、それを無理に混ぜる事で分離が起こってしまいます。
作り方に人肌まで温めた卵を加えると書いてあるのは、バターを適切な温度に保ち柔らかい状態で混ぜていくのが大切だからです。
逆に熱々の卵を入れてしまうとバターが溶けてしまったり、卵焼きが出来てしまうので注意が必要です。
ただし、しっかりバターを立てていると熱に耐性が出てきますので大体でも大丈夫です。

③卵は少しずつ加える

せっかく適度に温めていても一度に加えると分離する原因になってしまいます。
卵は3~5回位に分けて入れると経験上いいかなと思います。
卵を数回に分けて入れるポイントとしては、乳化した核を作りそれを広げていくイメージです。
しっかり乳化した後に卵を加えないと、一度に加えた時と変わらないので注意して作ってみてください。

4それでも分離してしまうなら

①バーブレンダーで強制的に乳化させよう

人の手で乳化出来ないなら機械に頼るのも一つの方法です。
バーブレンダーはお菓子作りの様々なタイミングで使えるので、是非とも持っておきたい物の一つですね。
*もし冷えた卵を入れてしまって生地が冷えているなら少し温めて行ってください。

②途中で粉をいれてみよう

これは卵を全部入れると分離しやすい人(配合)に試してもらいたい方法です。
乳化がしっかりしている状態で粉を一部加える事で粘度が出て乳化しやすくなるのでお勧めです。
*配合に小麦粉とそれ以外の粉(アーモンドパウダー等)がある場合はそれ以外の粉を入れる事をお勧めします。
これは、小麦粉だと練る時間が長くなってグルテンが形成されるからです。
*分離した状態で粉を加えても見た目はまとまって見えますが、分離したままになってしまっているので、バーブレンダー等でしっかり乳化してから粉を加えてください。

5.分離したまま焼くとどうなる?

①表面がゴツゴツする

水分と油分が分かれている事で熱伝導率が違うために起こります。
中心が綺麗にぱっくり割れるのは、外側から中心に向かって火がゆっくり入り、蒸気の逃げ道が中心の上しかなくなり上に逃げる事で起こります。
これが分離していると様々な場所で蒸気が発生し、その場で上に向かって逃げるので色んな場所がボコボコしてしまうわけです。

②ボソボソした食感になる

これは分離した水分に問題があります。
乳化していない状態で水分があると、その水分は自由に動ける状態になっています。
つまり、蒸発しやすい状態ということです。
これは、焼いている最中に水分が蒸発しやすい事も意味しますし、焼きあがった後も蒸発しやすく乾燥しやすいということです。

③べちゃべちゃする

今度は油分の問題です。
乳化している状態だと油分は水分をしっかり抱えてしっとりさせるのにとても大切な要素ですが、分離している状態だと油に漬けている状態になるのでボソボソしているのに油っぽいという状況になってしまいます。
また、酸化しやすいというのも問題点です。

まとめ

今回は乳化に絞ってお伝えしました。
どうすれば乳化しやすいのか、分離してしまったらどうすればいいか、そういったことを知って作ればより美味しい物が作れるようになります。
しっかりバターを立てる、卵を人肌まで温める、卵を少しずつ加える、そんな基本を知って、自分なりにアレンジ出来るようになって頂けたら幸いです。

より詳しく知りたい方は下記の書籍を参考にしていただけたらと思います。

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